妊活を経験し、仕事やキャリアにいかに影響するか体感している — 妊娠と流産

まずはじめに、現在は流産の自然排出を待つ状況ですが、体調はほぼ戻りメンタルも落ち着いていて平常運転です。元気です!ただ、命を授かった喜びと、それを失う哀しみはずっと忘れることはなく、ふとした瞬間に押し寄せてくる感情と向き合いながら日々を過ごしています。

妊活と妊娠と流産の経緯

昨年夏の終わりごろから妊活をはじめ、冬に入るころ妊娠がわかり、ウキウキと少しずつ変わっていく身体と過ごしておりました。7週目の検診では、心拍も見え、新しい命の成長に期待を寄せていたのもつかの間、8週目の検診では心拍も成長もみることができず、稽留流産と診断を受けました。

エコー内診の最中に伝えられたとき、「そうですか」と返すのが精いっぱいで、更衣室に入った途端涙が溢れました。この日は、たまたま夫にも来てもらっており、待合室で静かに泣きながら伝えました。

前週の喜びから一転したショックが余程大きかったのか、放心状態で、夫がその場に居てくれてすごく助かりました。妊娠の検診は女性に任せがちだと思うのですが、何があるかわからないので一緒に受診し備えたり、一緒に喜んだり、その負担や苦労を共有するのは大切だと強く思いました。心拍を確認できたとき、すごくかわいくて本当にうれしかった。

流産診断の直後は、自然排出を待つか手術により摘出するかの判断をすぐすることができず、しばらく時間をおいてから再度受診して相談することになりました。

年末年始を挟むタイミングだったのが不幸中の幸いで、年末は、結局何も手がつかず、でも悲しんだ状態では過ごしたくなく、無心でゲームしておりました。新年の抱負など考える余裕もなく、世間が年末の締めくくりと新年への準備をしているのを、SNS越しに眺めながら、立ち止まっていることを素直に受け止めて過ごしていました。悲しいけれど、これで人生を諦めてしまうというには、その一度来てくれた命に顔向けができないと感じ、気持ちが落ち着くのを急かさず待つことにしたのでした。

年始は、気持ちの整理になればと運動がてら水天宮までお散歩に行ったり(信心はないので特に何もせず)、実家を思い出してお雑煮を作ってみたりと、自然と動きだせる気力が出てきたので、1月の登壇ラッシュに向けて準備を始められました。

まだそばにいるこの子に対する気持ちとしても、次にお迎えする命のためにも、健康をしっかり維持し、仕事にも引き続き精を出し、楽しいことも遠慮なく楽しんで、心身ともによい状態を保つことが弔いと希望になると捉え過ごしています。

今と今後

今は自然排出を待っているところですが、手術による摘出をするかはまだ気持ちが切替えられません。自然排出と手術による摘出は、どちらがいいかはケースバイケースとのことで、自然排出は比較的身体への負担が少ないが、重めの生理のような腹痛と出血がいつ来るか読めない点がやっかいで、生活や仕事に支障がある人は手術を選択することも全然OKとのことです。出血の量によっては、手術の方がすぐに処置できるので安全という見方もできますし、排出しないと次の命を授かることもできないので見切りをつけて手術するという考え方もできるとのことです。

無事排出が行われて身体が戻れば、また妊活を再開し子を授かりたいです。

なぜ子どもを産もうと思っているか

もともと子どもが好きなのでいつか産みたい、育ててみたいという気持ちがあったことに加え、IT業界におけるジェンダーギャップについて考える中で、多くの女性と話し、出産・子育てが女性の就職やキャリアにとても大きく影響していることが見えてきて、これは自分も経験してみなければ解決に取り組めないと強く感じたことも後押ししています。

皆さんからお話を聞いてわかったような気でいましたが、どこがどう大変かというのは、自分が妊活・妊娠(流産)を実際に経験してみて、全然わかっていないかったのだと身に染みて感じました。

ロールモデルが必要という話もよく聞きます。私は、今月39歳、すでに高齢出産に分類される年齢ですし、フリーランスのエンジニアが妊娠・出産・子育てと仕事の両立・バランスをどうしていくか、誰かの参考になればよいとも思っています。

女性の就業と妊活、妊娠

(妊活って言葉は、なんだか軽く聞こえてあまり使いたくないのですが、よい表現が思いつかないのでこのまま続けます)

さて、私は年齢的にリミットが迫っていると考えているので、効率的に妊娠に取り組みたく早い段階から不妊治療クリニックを受診し、ブライダルチェック(排卵や妊娠に関わる検査)やアドバイスをいただいて妊活を進めています。

不妊治療については、思いのほか負担が大きいと実感しています。通い出して数ヶ月ですが、数日~隔週の間隔で受診しなければならず、まず時間的にきついです。なにより、私は時間に縛られず働ける状況なので比較的自由に動けますが、フルタイムで働いている方は仕事を調整せざるを得ません。また、金銭的にも、一部保険適用になったとはいえ、初期の一通りの検査は自費で数万かかります。負担が二重三重に大きいと実感しました。

また、これは経験する前は盲点だったのですが、妊娠というのは検査薬やエコーで確認できてから始まる、のではなく、受精卵が着床した段階から妊娠が始まっているのです。着床から検査薬の反応が出るまで1~2週間ほどあり、かつ着床の時期はほとんどの場合正確にはわからないので、妊活中は基本妊娠している前提で過ごした方がリスクが少ないと考えています。

妊娠中は制限が多く、アルコールとタバコは厳禁、食事も生ものやいくつかの魚類、カフェインを控えないとならないため、生活に支障が出る場合があります。眠気覚ましの手段が減って能率が下がったり、会食でもアルコールやお刺身などを断らなければならなくなります。また、早くからつわりなどの症状が出る場合もあり、遠出を避けた方がよい場合もあります。

実際に、私も妊活を始めてから予定が立てにくくなり、行きたかった GitHub Universe への現地参加も見送りました。流産の経過によっては来年もいけないでしょう…。これは、私の場合は仕事の評価に影響しませんでしたが、人によっては出張や会食を断ることが評価に影響してしまうケースもあるのではないでしょうか。世間の風潮もあり、妊娠についてオープンに話すのは憚られる傾向にあります。男性が多い職場では言いにくいでしょう。まだわかっていないのに妊娠の可能性があるからとも言いにくく、とてももどかしい期間です。

これはもう妊活や妊娠についてオープン話せる風潮に変わった方がいいんじゃないかと、当時思いました。が、流産を経験して、妊娠を報告した数週間後に流産を報告するという事態になり、これはこれでとてもメンタルがつらかったので、なかなか難しいと感じています。

そして、妊娠してからも、ずっと大変です。初期は隔週で受診をするとのことで、時間的なコストは相変わらずかかり、加えて、体調が本当に不安定で難しくなっていきます。私は7週目までしかかないませんでしたが、それでもつわりを少し経験して常に気持ち悪さ(車酔いみたいな)が続いていたり、急激な眠気で1,2時間意識が吹っ飛ぶことも少なくなかったり、頻尿になり夜中起きてしまうなど、常に体力を削られ続けます。日に日に変化していき、妊娠中期・後期はまた違う大変さがあるそうで、体験してみないと本当にわからないです。

この短期間でさえとても大変なのに、妊娠は少なくとも10ヶ月、出産後はお子さんが独り立ちするまで20年前後ずっとサポートをし続けることになります。相当な覚悟と、お金と、時間が本当に必要でしょう。

それから、出産後は子が体外に出てくるので父親も一緒に動けますが、出産まではほとんどすべての負担が母親側にかかります。

私自身も体験してみないとわからなかったので、体験しようがない男性は想像するしかないのですが、本当に本当に大変です。

子を体内で育てることはどう転んでも変わってあげることはできないので、体外=母親をサポートをしていくしかありません。子育ては、子供が生まれてからではなく、生まれる前からすでに始まっているのです。そうしなければ、女性の稼働はどんどん制限されてしまい、その期間の就業の困難、ひいては復帰の困難へ大きく影響してしまうのです。

そして、父親(男性)が母親(女性)を支えるには、男性側の職場の理解とサポートも大きく関ります。これは、社会全体で言えることで、女性の社会進出と男性の家庭進出どちらも必要と言われる理由です。人手不足が深刻になりつつある今、男性も女性もフレキシブルに働ける環境がより求められていくでしょう。

コミュニティのありがたさ

さいごに、これは自分でもびっくりしているのですが、女性エンジニアを応援するために立ち上げたコミュニティ Code Polaris の場が、技術だけでなく、エンジニアとして仕事をしながら妊娠や出産・子育てをしている人同士でサポートし合える場としても育っています。

特に妊娠・出産は、なかなか異性とは話しにくい内容なので抱え込んでしまいがちですが、女性限定のコミュニティでは妊娠・出産を経験している女性も多く、共感や実体験から親身にサポートし合える場になっているのです。不安を抱えたプレママさんからの質問を、すでに経験した先輩が答えてくれる。私自身、皆さんの会話で学びを得たり、勇気づけられたりすることが何度もあり、本当にありがたいです。

妊娠を伝えたときは一緒に喜んでくれ、流産を伝えたときは一緒に悲しんでくれました。実は、流産を知った最初のうちは、流産なんてよくあることだと言い聞かせて気丈に振舞っていたのですが、メンバーのみなさんが悲しんでくれて、自分の感情を素直に受け止めることができるようになりました。これも、経験しなければわからなかったことで、流産は悲しいですが、その悲しみを経験できてよかったと感じています。

Epilogue

誰かの参考になるかもと、フリーランスエンジニアの妊活、妊娠、流産について書きたい気持ちはあったものの、年末年始だったり、メンタルが追い付かなかったりでしばらくおいていて、今日ふと書けたので書き切りました。投稿したら仕事しなければ。(検証楽しい)

ということで、引き続き妊活は続けます。職場のボスや同僚も引き続きサポートするとおっしゃってくれ、非常に心強いです。

ありがたいことに1月2月は登壇ラッシュで、のんびりしてる余裕はないため、元気いっぱい働きながら、いつか出会える命を楽しみにしてがんばっていきます~!

記事を読んで気になることがありましたら、是非お話ししましょう~!🙌

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Kazumi IWANAGA (OHIRA)
Kazumi IWANAGA (OHIRA)

Written by Kazumi IWANAGA (OHIRA)

Hello! :) I’m a developer, Microsoft MVP(Azure). My interests: Azure, Serverless, IaC, Container, IoT, and other many exciting things!

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